大判例

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東京高等裁判所 昭和31年(う)2031号 判決

被告人 坂入利雄

〔抄 録〕

検察官の控訴の趣意について。

原判決の量刑がむしろ重きに過ぎることは、弁護人の控訴趣意第三点につき判断したとおりであるから、論旨は理由がない。当裁判所は、職権を以て調査するに、原判決書には、主文において被告人を懲役一年の刑の外罰金刑に処し、右罰金を完納することができないときは、一日金五百円の割合で被告人を労役場に留置する旨の記載があるが、当審の事実取調の結果によれば、昭和三十一年五月十一日の原判決言渡の際は、原審裁判官が右罰金刑の換刑処分の朗読を遺漏したものと認めざるを得ない。ところで刑法第十八条によれば、罰金を完納することができない者は一日以上二年以下(併科の場合は三年以下)の期間留置場に留置すべく、罰金の言渡をするときは、その言渡と共にこれを完納することができない場合における留置の期間を定めて言渡をしなければならない旨規定されているから、原審が原判決言渡のとき右のように罰金刑の言渡をしながら、これが換刑処分の朗読を遺漏したことは、右換刑処分の言渡がなかつたことに帰着し、このことは法令に違反する訴訟手続をしたものであつて、この違反が判決に影響を及ぼすことは明白であるから、原判決はこの点においても破棄を免れないものである。

(谷中 坂間 久永)

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